往診先のおばあちゃんちにある仏壇の、ひとつだけ飾られた遺影がずっと気になっていた。
一種を着た若い海軍さんなんである。
襟章を見たら少尉なんである。
そして若い。
さらになかなかの美男子である。
息子さんであろうか?
気になるが、聞けなかった。
100歳になる彼女は大変耳が遠いので、大きな声で、短いセンテンスで、ゆっくり聞かねばならず、恥ずかしさが邪魔して1年以上聞けなかったのである。
しかし意を決して聞いてみた。
正確に言うと我慢できなくなって聞いてみた。
「息子さん、海軍さんだったんですか?」
「へえ、旦那です」
・・・・だんな・・・!
旦那様でしたか・・・!
簡単に計算したらおばあちゃんは終戦時、35歳。
旦那様も同じくらいだろう。
え?
この写真で『おじさん年』だったのですかおばあちゃん????
昔の写真はお肌がのっぺりと写るから若く見えすぎたらしい。
しかしとんでもなく若くみえるんだが・・・・!
(もしかしたら第一次世界大戦だったとか、認識の次元がずれてたのかもしれない・・・・・)
次に彼女へ問いかけるセンテンスはやや複雑なものになりそうである。。。。。。
(あの少尉さん、何歳????)
(ちなみに100歳の彼女の足腰はすごい。歩行器ですたすたバックして歩くこともできる。頭もしっかりしている。別宅の往診先に、同じくらいの年のおじいちゃんがいるが、彼は手すりも持たずに腹筋だけでベッドから起き上がる。彼もとても100歳に見えず、70歳くらいかと思っていたほどだ。
人によるけど、白寿を迎えるかというお年寄りも、しゃきしゃきしているひとが結構いる。松はラストで97歳くらいだねとあるお方がおっしゃってましたが、ああいう逞しいおじいちゃんがいるのは何にも不思議じゃないとつくづく思っちゃうのでした・・・・・w)
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