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「言ってないこと」
は、やはりアレでしたね。
まっつのおとんが事故死してたという事実。
ここでそれを言ってどうなる?なんですが、
交渉の手段というか、話術というか、そういうもののために出た話題ではないようです。
これはこの後展開される二人の対立と、二人の共通点を際立たせていくための演出のようです。
余計なものをそぎ落とし、核心に迫っていく描写、といったところでしょうか。
言葉によって、二人の周りを取り囲んでいた「戦う理由」を剥がしていくわけです。
友情のため?同志のため?己のため?国のため?同胞のため?義理のため?理のため?情のため?・・・どんどんふたりから『理由』がそぎ落とされていきます。そうして最後に残ったもの、それが二人の勝敗と、行動を決めるのです。
①二人の幽霊がいる世界=パラドックスを内包した世界であること
角松が元いた世界には繋がらないという事実
→角松の行動は歴史を戻すため、国のためではない
そもそも『幽霊』ならば、この世界の何者の為にも、
行動し、働きかける理由、義理はないだろう。
世界を負うとか責任を果たすとか、そういう大げさなものはないのである。
②ふたつの遺品
*梅津艦長から託された拳銃
*鴻上から受け取った軍刀
そのどちらの存在も『本来の使用の場』を持たない
→二人とも、『遺志』のために行動しているのではない
もちろん、実際に互いを撃っても事態は変わらないのであり、
草加が持っている拳銃も、
角松の銃やその他の武器も使用の場を持たない。
草加は角松の「ありのままの言葉」を聞き、
自分の行動を決めるのは角松の言を信じるか否かにあると前置きする。
「みらい」が攻撃力を残存しているということ。
この期に及んで角松がはったりなどかましてくるだろうか・・・・?
間・・・そして草加は微笑する。
「預かっていただきたい」
大切な軍刀を角松に預かってもらうよう申し出る。片目の見えない草加をサポートしてくれていた『鴻上の軍刀』をである。
ここまで苦労してきて、そんなに簡単に角松の申し出を受け入れるなんて到底思えないのだが、草加のこの行動は大きな意味を示すだろう。
手が塞がっていては、というほど手狭になるシロモノではないのだが、あくまでも敵方である角松に武器であり遺品であり、支えとなっているものを預けるという行為である。
命の一部を預けるに等しい。
そして軍刀を手渡すと同時に、草加からも遺志や情、いくつかの理が剥がれ落ちる。
手塩にかけて一生懸命作り上げ、多くのリスクを負いながら作戦逐行に及んだ最終兵器である。角松が言うように大和ごと米艦隊に拿捕させるのは「オイ!チョットそれはあんまりやろ?!」でも、世に出る前に海中に沈められてはたまらない。起爆装置を停止させるべく、元に戻す作業にはいるのだろうか?(・・・ええ???)
逆に、そうまでして肉を切らせても、なおかつ草加は作戦貫徹するつもりなのかもしれない。
正直、微笑のまま、ほとんど変わらない草加の表情からは、私はその真意が読み込めなかった。
来週、草加の行動が明らかになる・・・のだろうか?
55ページ。
剥がれ落ちていく『理由』の最後に、角松の手の中に残ったのは『命』でした。
「命を守る、その一点においてのみ、武力を持つものはその存在を許される」
矛盾まみれであることを叩かれてもなお、彼が貫き続けるセオリー。
「命は命だ」という真っ直ぐな言葉を、草加は真っ向から受け止める。
草加の手の中には、最後になにが残っているのだろうか?
(今回は真面目なので、「角松さんへの愛」とかいうオチはなしです(笑)・・・
って、真面目な話でも、もしかしてそうなんじゃないの??!!笑!)
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