********
先日の花火大会に、露店の金魚すくいで買った五匹。
うちの子がはじめて見事に救い上げた金魚も一匹入っていた。
それが一晩にして見事に全滅したのだった・・・・。
話はその一晩前にさかのぼる。
いつも夜寝る前に絵本を読んでやるのだが、その夜は保育園で借りてきた新しい絵本がチョイスされていた。
さてはじまりはじまり。
弱虫の男の子の前に、勇気を与えてくれる小さなライオンが現れて、男の子がどんどんいろんなことが出来るようになって行く話である。いつしか男の子は、ライオンがいなくてもいじめっ子に立ち向かえるまで成長するのであった。まるでドラヱもんのようなライオンである。しかしある日、そのライオンは置手紙を男の子に残して姿を消してしまっているのだった。
ラストのページにはライオンの置手紙が載っていた。
「君はもう僕がいなくても大丈夫。他にも弱虫の子供が待っているから、僕はその子のところにいかなくちゃ。僕をいつまでもわすれないでね。僕も君の事は忘れないよ。じゃあね、バイバイ」
・・・というようなことが書いてあった。
そしたらうちの子・・・。
読み終わったとたんに、さめざめと泣き出してしまったではないか!
あらまあ!絵本で泣いたことはなかったのに。
「バイバイはダメ~!」・・・・らしい。
泣ける・・・うんうん・・・そりゃ泣くわ・・・・。
(しかし物語で泣くという反応が出来ることに、成長を思って感動はした。うん。)
それにしてもあまりにしくしくと泣くので、
「男の子はきっと、ライオンがいないと困ることがまた起こるよ。そのときになったらまた会えるね」と言ってなだめすかした。
・・・そんな事があったばかりだというのに。
金魚がバイバイである。
それも一挙に総員、永遠にバイバイなのである!
勝手にお弔いして「なかったことに」してしまおうか・・。でもそしてたら「金魚は?」と聞かれたときなんて言うかである。
話すか?
話すかこの現実を・・・・!
ありのままの事実を、この悲劇を3歳の子に受け止めてもらうか?
意を決して振り返り、私は彼女を呼び、互いの視線を合わせた。
「あのね、悲しいおしらせがあります。金魚がしにました。金魚とバイバイしないといけません」
・・・・言ってしまった!
かわいそうな現実を直球で投げつけてしまった!
さあ泣くぞ!泣くぞ・・・・っ!
ひい~~!
思わず身構える自分。
が、
「見せてv」
娘は非情なほどのニヒルな笑みを浮かべた。
浮かんだ金魚を突きながら興味津々に見る彼女。
私の直球はパフんッと乾いた音を立てて、彼女のキャッチャーミットにあっさり収まった後、彼女にミットごと捨てられたのであった・・・・・。
子供ってほんとにわからない・・・・・。
(まあ、しんじゃうってことがわからないんだからしょうがないが・・・・・バイバイ・・・なんだぜ?)
PR